「あれが今回の敵ね」 裏路地にある商業ビルの屋上に、一人の少女と豆狸が立っていた。 ビルの下では大きなカラスのような化け物が少女を探している。 「愛と正義の使者、マジカル☆リカ推参!化け物カラスさん、覚悟しなさい!」 豆狸の叫び声を聞き、化け物はリカと同じ目線まで舞い上がってくる。 しかし次の瞬間、少し遠くの大きな通りに展開していた自衛隊が化け物に砲撃した。 化け物は自衛隊の方へ行ってしまい、リカと豆狸はその場に取り残された。 「あ、向こうに行っちゃった」 「何ボケッとしてるの、リカ!早く空を飛んで追いかけるのよ!」 「飛ぶの?どうやって?」 「あそこのバックに入ってる、折り畳み自転車を使うのよ!」 「え、自転車で空を飛ぶの、昔なんかの映画で見たんだけど。特許とか著作権とか大丈夫?」 「つべこべ言ってないで、早くしなさい!あの化け物は、リカにしか倒せないのよ!」 豆狸がそう言った瞬間に、化け物が燃え尽きて落ちるのが見えた。 「あ、今回も自衛隊の人達が勝ったみたいだね。帰ろっか」 「……」 家に着くとすぐに、豆狸はリカに怒鳴った。 「なんでいつも、リカは何もしないの!」 「いやー、自衛隊の人達が優秀なんだよ。 凄いなあ…私、魔法少女じゃなくて自衛隊になりたい…よし決めた、私防●大を第一志望にするよ」 「ちょっと!何言ってるのよ!」 弱冠十歳にしてリカの志望大学が決まった瞬間だった。 一方その頃、自衛隊ではある二人の隊員が片付けをしながら語り合っていた。 「いやあ、今回もあの子のお陰で助かったな」 「ああ、いつもあの子が囮になってくれてる間に、攻撃準備が整えられるからな…ところで、あの囮役の子は一体誰なんだ?」 「さあ?」 「あの子といい、この化け物といい…謎だらけだな。 一体日本はどうなってるんだ」